他人と比べず「自分の強み」を見つける具体的なステップ
はじめに：比較の沼から抜け出し、自分自身に目を向ける
日々の生活の中で、つい他人と自分を比べてしまい、落ち込んだり、自信を失ったりすることは少なくありません。特に、身近な人やSNSなどで目にする「輝いている誰か」と自分を比べてしまうと、自分の欠点ばかりが気になり、本来持っている価値が見えにくくなってしまうことがあります。
他人との比較から心穏やかに過ごすためには、比較すること自体をやめる努力も大切ですが、それと同時に「自分自身の価値」に目を向け、強化していくことが非常に有効です。自分の強みや得意なことを理解することは、揺るぎない自己肯定感を育む土台となり、他人との比較に一喜一憂しない「自分軸」を確立することにつながります。
この記事では、他人との比較から一歩離れ、あなた自身の隠れた強みや得意なことを見つけるための具体的なステップをご紹介します。
なぜ私たちは自分の強みを見つけにくいのか
自分の強みや得意なことについて考えたとき、「特に何もない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。これは、決してあなたに強みがないわけではありません。むしろ、私たちの文化や教育が、得意なことよりも苦手なことの克服に焦点を当てがちであること、また、普段「当たり前」だと思っていることが、実は他の人にとっては難しい「強み」であることに気づきにくい、といった理由が考えられます。
また、他人との比較ばかりしていると、自分の良い面に意識が向きにくくなります。他人の優れた部分ばかりを見ていると、「自分にはあれがない」「これも足りない」と感じてしまい、自分の内側にある良い部分が見えなくなってしまうのです。
しかし、誰もが必ず、何かしらの強みや得意なことを持っています。それは特別な技能や才能である必要はありません。日常生活の中でのちょっとした工夫、人との関わり方、物事への向き合い方など、様々な形で存在しています。
自分の強みを見つけるための具体的な5つのステップ
それでは、他人との比較から意識を転換し、自分自身の強みを見つけるための具体的なステップを見ていきましょう。リラックスして、ひとつずつ試してみてください。
ステップ1：過去の経験や成功体験を振り返る
大きな出来事である必要はありません。過去を振り返り、自分が「うまくいった」と感じた経験や、「達成感を得られた」瞬間を思い出してみてください。それは、学校や仕事での出来事かもしれませんし、家庭での小さな成功体験、趣味での進歩かもしれません。
- どんな状況で、何に取り組みましたか？
- その時、あなたはどのような工夫をしましたか？
- 何が成功の要因だったと思いますか？
これらの経験の中に、あなたが自然と行っている工夫や、無意識に使っている能力が隠されています。例えば、困難な状況でも諦めずに粘り強く取り組めたなら「継続力」、複数のタスクを同時にこなせたなら「段取り力」、人の話を聞くのが得意で問題解決に貢献できたなら「傾聴力」や「問題解決力」といった強みが見出せるかもしれません。
ステップ2：人から褒められたこと、感謝されたことを思い出す
他人からの言葉には、自分では気づきにくい強みが映し出されていることがあります。「ありがとう」「助かったよ」「すごいね」といった、過去に人からかけられたポジティブな言葉を思い出してみましょう。
- どんな時に、どんな言葉をかけられましたか？
- それは、あなたのどんな行動や能力に対してでしたか？
「いつも丁寧だね」「あなたの説明は分かりやすい」「困ったとき、いつも話を聞いてくれるね」「段取りが良いね」など、些細な言葉の中に、あなたのコミュニケーション能力、論理的思考力、共感力、計画性といった強みが隠されていることがあります。自分では当たり前だと思っていることほど、他人から見ると「すごい」と感じられる場合があります。
ステップ3：夢中になれること、時間を忘れるほど楽しめることを見つける
あなたが心から楽しんで取り組めることは何でしょうか。趣味でも、特定の活動でも、学びたいことでも構いません。夢中になれることには、あなたの興味や情熱が詰まっており、それはあなたの才能や強みと深く結びついています。
- 何をしているときに、一番楽しいと感じますか？
- どんなことに時間や労力を費やすのが苦になりませんか？
- それを通じて、どんな感覚や感情を得られますか？
例えば、何かを作ることに没頭するなら「創造性」、新しい知識を学ぶのが好きなら「探求心」、人をサポートすることに喜びを感じるなら「貢献意欲」や「支援力」などが強みとして挙げられます。楽しいと感じる活動そのものだけでなく、その活動に取り組む「姿勢」や「動機」にも強みを見出すヒントがあります。
ステップ4：苦手なことや失敗から学ぶ（裏返しとしての強み）
苦手なことや失敗経験は、ネガティブなものとして捉えがちですが、見方を変えれば強みを見つけるヒントになります。あなたが何かを「苦手だ」と感じるのは、特定の基準や価値観を持っているからかもしれません。また、失敗から立ち直る過程で身につけた力もまた、あなたの強みです。
- どんなことが苦手だと感じますか？ なぜそう感じるのでしょうか？
- 過去の失敗から、何を学びましたか？ それを次にどう活かしましたか？
例えば、大勢の前で話すのが苦手なら、それは「一人ひとりとじっくり向き合う」ことを大切にしている現れかもしれません。計画通りに進まなかった失敗から、リスク管理や柔軟な対応力を学んだ、ということもあります。苦手や失敗の裏側には、あなたのこだわりや、成長しようとする力が隠されています。
ステップ5：診断ツールやワークシートを活用する（補足）
もし、自分一人で見つけるのが難しいと感じる場合は、ストレングスファインダーやVIA-IS（VIA® 強み診断）のような強み診断ツールや、自己分析のためのワークシートなどを活用してみるのも一つの方法です。これらのツールは、あなたの特性を客観的な視点から示してくれるため、自己理解を深める手助けとなります。ただし、診断結果に囚われすぎず、あくまで自己探求の一助として利用することが大切です。
見つけた強みをどう活かし、自己肯定感を育むか
これらのステップを通じて見つけた強みは、特別な場面だけでなく、日々の生活の中で意識的に活用することができます。例えば、「傾聴力」が強みなら、家族や友人の話をいつもより丁寧に聞いてみる、「段取り力」があるなら、日々の家事や仕事のタスク管理に活かしてみるなどです。
自分の強みを使う機会が増えると、成功体験や感謝される機会も増え、それがさらに自己肯定感を高めることにつながります。完璧にこなす必要はありません。まずは小さなことから試してみてください。
また、見つけた強みは、他人と比較するのではなく、「自分はこういう良いところを持っている」という自己理解のために使います。他人の強みと自分の強みは違うのが当たり前です。それぞれの良さがあり、優劣はありません。自分自身の持つ独自の価値を認め、それを大切にすることが、他人との比較から卒業する鍵となります。
自分自身の価値を見つける旅を始めよう
自分自身の強みや得意なことを見つける旅は、一度きりで終わるものではありません。日々の経験を通じて、新しい強みに気づいたり、既存の強みがさらに伸びたりすることもあります。焦らず、楽しみながら、自分自身への理解を深めていくプロセスそのものが、あなたの自己肯定感を育んでくれるはずです。
他人と比較する時間を、ぜひ自分自身の内面に目を向ける時間に変えてみてください。あなたの個性や経験の中に隠された輝きは、きっと想像以上に素晴らしいものであることに気づくでしょう。自分自身の価値を認め、自信を持って日々を歩んでいきましょう。